それは 標準化された質の高い手術のことです。
腹腔鏡下手術はTV画面の映像を見て行う手術ですから、質の高い手術の映像が記録・保存できます。この映像情報をこのグループ全体で共有し、グループ内の医師が、この映像をもとに質の高い手術のイメージトレーングをすることで、手術技術の上達度が2倍、3倍になる効果が生まれました。これを、“技術共有効果”といいますが、この効果により一部の達人の手術でしかなかった腹腔鏡下手術が、トレーニングをこなして確実な技術をもった医師なら誰でも行える標準的手術にすることができました。(これを”術式の標準化”といいます。)
標準化された術式が成熟すればするほど、術者にとって、そしてもちろん患者さんにとって、最も回避したい“術中・術後合併症”の発生率が減り、術者は安心を持って手術が施行できるようになります。そしてさらに手術が成熟していくという好循環が生まれます。
成熟した手術とは、すなわち術中・術後合併症の少ない“安全な腹腔鏡下手術”と言うことです。
さらにこの映像情報の共有は、術中、術後合併症の対応策の共有も行えるので、これらをグループ内で十分に検討し、皆にフィードバックすることで、“合併症対策の標準化”も確立できることになります。
“術式の標準化”、“合併症対策の標準化”により、技術認定医を目指す若手医師の修練の試行錯誤が省かれ、トレーニング効率が上昇し、最終的にワーキンググループ全体の手術技量の底上げにつなげることができました。