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婦人科腹腔鏡下手術技術連携グループについて

婦人科腹腔鏡下手術技術連携グループについて

婦人科腹腔鏡下手術技術連携グループとは?

当院開院当時(2007年1月)は、「腹腔鏡下手術を受けたいがどこに受診してよいかわからない」、あるいは、「手術は決まっているが、予定している病院の手術が混んでいて、数ヶ月、1年先まで待つので何とか手術を早くしてもらいたい」 と考えている方が多くいらっしゃいました。

このような患者さんのために、婦人科腹腔鏡下手術の実績のある医師たちが

『病院の垣根をこえて連携し、より適切な時期に質の高い腹腔鏡下手術を患者さんに提供しよう』

と考え発足したのが、婦人科腹腔鏡下手術技術連携グループでした。本グループは、十分な手術実績を持つ日本産婦人科内視鏡学会技術認定医と、技術認定医を目指して日々意欲的にトレーニングをこなしている医師達で構成されていました。

このグループが望んでいたこと

“低侵襲で身体にやさしい手術”として注目されている腹腔鏡下手術を、①適切な時期に提供すること、そして、②その手術の恩恵が患者さんに十分反映されること、このグループに属する医師は、皆、誰もがそれを望んでいました。

本グループの過去の活動内容

  1. お互いに密な連携ネットワークを構築、そのネットワーク内で各施設での腹腔鏡下手術の技術をお互いに公開して、グループ全体で協議し、腹腔鏡下手術の質の向上を目指して日々研鑽していました。
  2. 腹腔鏡下手術が適応となる婦人科疾患について、中・長期的な治療戦略を確立したいと考え、常にコミニュケーションを取るようにしました。治療疾患は、手術が対象となる疾患すべてですが、特に子宮内膜症および子宮筋腫に対しては、手術治療のみにとらわれず、新規薬物による治療(臨床治験)を行い、積極的により適切な治療方法を探索していこうと考え、実行してきました。

本グループが患者の皆様に提供しようとしたことは

腹腔鏡下手術を希望される患者さんに、構成メンバーの医療連携ネットワークを駆使して、

①安全な腹腔鏡下手術を、
②適切な時期に提供し、病気に対する内科的治療も含めた最進の治療方針を提示することを目標として努力を積み重ねました。その集大成として2012年8月に開院した神奈川県麻生区にある新百合ヶ丘総合病院低侵襲婦人科手術センターは、2020年1月、遂に、婦人科腹腔鏡下手術数で日本一を誇るに至りました。

Q&A

それは 標準化された質の高い手術のことです。

腹腔鏡下手術はTV画面の映像を見て行う手術ですから、質の高い手術の映像が記録・保存できます。この映像情報をこのグループ全体で共有し、グループ内の医師が、この映像をもとに質の高い手術のイメージトレーングをすることで、手術技術の上達度が2倍、3倍になる効果が生まれました。これを、“技術共有効果”といいますが、この効果により一部の達人の手術でしかなかった腹腔鏡下手術が、トレーニングをこなして確実な技術をもった医師なら誰でも行える標準的手術にすることができました。(これを”術式の標準化”といいます。)

標準化された術式が成熟すればするほど、術者にとって、そしてもちろん患者さんにとって、最も回避したい“術中・術後合併症”の発生率が減り、術者は安心を持って手術が施行できるようになります。そしてさらに手術が成熟していくという好循環が生まれます。

成熟した手術とは、すなわち術中・術後合併症の少ない“安全な腹腔鏡下手術”と言うことです。

さらにこの映像情報の共有は、術中、術後合併症の対応策の共有も行えるので、これらをグループ内で十分に検討し、皆にフィードバックすることで、“合併症対策の標準化”も確立できることになります。

“術式の標準化”、“合併症対策の標準化”により、技術認定医を目指す若手医師の修練の試行錯誤が省かれ、トレーニング効率が上昇し、最終的にワーキンググループ全体の手術技量の底上げにつなげることができました。